君に届け
「綾芽…泣かないで。裏切られたのは確かにショックだったけど─でも、もういいから…」
「えっ…?」
綾芽は、あたしの言葉に驚いたように顔を上げる。
「今あたしがここに無事でいれるのも、綾芽があの時助けに来てくれたからじゃん…ね?」
「穂波…」
「だから最初からやり直し。また友達になってくれるよね?綾芽…」
「うん。ありがとう…穂波─」
あたしたちなら、またもう一度やり直せる。
今度は本当の友達になれるって信じてるよ─
ね、綾芽…?
「綾芽〜、もう泣くのやめなって!」
「だって…穂波に許してもらえるなんて思ってなかったし、嬉しいんだもん…」
綾芽はそう言うと、袖で涙を拭った。
ちょうどその時、処置室のドアが開いた。