君に届け
「次会うのは月曜だね。穂波、先生。バイバイ♪」
そう言うと、綾芽は車から降りて手を振った。
「おぉ。またな、矢野!」
「バイバ〜イ!」
走り出す車の窓を開けて手を振り返し、綾芽の家から離れる。
「池澤…手、大丈夫?」
「大丈夫だって。本当幸村は心配性だな…」
だって…
あたしのせいで池澤は怪我したんだし…
心配するのは当たり前。
「そんな顔して…自分のせいだとか思ってるだろ?」
「えっ…?」
「図星…か。幸村、俺は自分の意志でお前を守ったんだ。だから、お前は自分を責めなくていい─」
「池澤…」
「大丈夫。俺の利き手は右だし、授業もちゃんと出来るからさ…」
そう言って、池澤はあたしに笑顔を見せた。
「うん。ありがと…」
あたしが池澤に笑顔を返した直後、鞄の中で携帯が着信音を奏で始めた。