君に届け
「そっか…わかった。」
成功…?
真先輩は池澤の嘘を信じてくれたみたい。
「幸村って言ったな?」
「…はい?」
「本当にもう体調は大丈夫なのか?」
なんか悪いよ…
こんなに心配してくれるなんて…
池澤の言うことを何の疑いもなしに信じるんだもん。
純粋だよね…
「はい…」
真先輩には悪いけど、ここは仕方ない。
嘘を貫き通す為、あたしは頷いた。
「ならいいや…俺は葛城 真【カツラギ シン】。1年5組の担任で、理科の教師だ。よろしくな!」
「あたしは…幸村 穂波って言います。」
ご丁寧に名乗ってくれた真せんぱ…いや、葛城先生。
あたしも名乗り返し、お辞儀をした。
「よし、一件落着!真先輩、この件は…」
「わかってる。俺から主任に伝えるよ。担任だからな…」
はい?
担任…?