君に届け



気晴らしに、さっき幸村に持って来てもらった数学の教科書を手にした。



2・3ページ見たあたりで手を止める。



これでもダメ…か。



数学の教科書を閉じ、俺はキッチンにいる幸村を見た。



俺…幸村のこと、見くびってたのかも知れないな。



心のどこかで、まだまだ子供だって思ってた。



でも、どうやらそれは間違ってたみたいだ…



幸村は俺が思う以上に、大人なのかもな─



それとも、俺がまだまだ子供なのか…



俺はその場から立ち上がり、キッチンへと向かう。



「幸村…」



「え…なに?」



「俺もなんか手伝う。やること言って?」



「…じゃあ、野菜切って。みじん切りだよ?」



「了解。」







< 207 / 282 >

この作品をシェア

pagetop