君に届け



先に口を開いたのは、池澤だった─



「俺…正直怖いんだ。」



怖い…?
あたしは池澤の方に向き直る。



「やっぱり俺らの間には、消せない関係がある。」



そうだ…



付き合う以前に、あたしたちには教師と生徒って関係がある。



今はよくても、いつ学校にバレるかなんてわからない…



そんなことは絶対、起きて欲しくないけど─



「いざって時に、俺はお前を守れないかも知れない…不安で仕方ないんだ─」



「池澤…」



もし学校にバレることになれば、お互いに厳しい処分も考えられる。



もう一緒にいられなくなるかも知れない。



でもあたしは…



「それでもいい。バレるのを恐れてたら何も出来ないじゃん…だから、あたしは今を大切にしたい。」



このままずっと



池澤と一緒にいたい─







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