君に届け



「穂波、さっき彼氏に見とれてたんじゃないの?」



授業が終わり、あたしの席にやって来た綾芽が小さな声で言う。



「見とれてない…」



「ふぅ〜ん。」



綾芽は怪しげな目付きであたしを見つめる。



疑ってるな…



「まぁいいけど。穂波は勉強しなくても大丈夫だろうし♪」



「なんで…?」



「いつでも教えてくれる人がいるでしょ〜?」



またそれ…?



「彼氏兼家庭教師!この肩書き、もう文句なしだよね〜」



私もそんな人に逢いたいなと綾芽は言った。



それからしばらくして6限の授業が始まった。







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