君に届け

詩音




よく先生に見つからなかったよね…



我ながら感心する。



葛城先生の代わりにやって来た学年副主任が、明日の連絡を伝える。



大事なことはメモを取り、短いHRが終わった─



「穂波、帰ろ♪」



「うん。」



あれからあたしは、綾芽と一緒に帰るようになっていた。



「穂波、さっきまたボーッとしてたけど、考え事でもしてた?」



「まぁね…授業中にこんなメール来たから。」



そう言って、あたしは池澤から来たメールを見せる。



「期末対策勉強会…?じゃあ、今から先生の家行くんだ?」



「うん…」



「楽しみだね♪」



いや…別に楽しみな訳じゃないんだけど─



どうせなら勉強はなしにして欲しいところだし。



「きっと今回は穂波に負けるな…私も頑張るけど、穂波には先生がついてるし。」



「なんなら綾芽も来る…?」



「せっかくだけど、私は行かない!2人の邪魔はしたくないし♪」



邪魔って…



「穂波、勉強頑張れ!じゃ、また明日〜」



綾芽はそう言うと、笑顔で走り去った。






< 222 / 282 >

この作品をシェア

pagetop