君に届け
詩音
よく先生に見つからなかったよね…
我ながら感心する。
葛城先生の代わりにやって来た学年副主任が、明日の連絡を伝える。
大事なことはメモを取り、短いHRが終わった─
「穂波、帰ろ♪」
「うん。」
あれからあたしは、綾芽と一緒に帰るようになっていた。
「穂波、さっきまたボーッとしてたけど、考え事でもしてた?」
「まぁね…授業中にこんなメール来たから。」
そう言って、あたしは池澤から来たメールを見せる。
「期末対策勉強会…?じゃあ、今から先生の家行くんだ?」
「うん…」
「楽しみだね♪」
いや…別に楽しみな訳じゃないんだけど─
どうせなら勉強はなしにして欲しいところだし。
「きっと今回は穂波に負けるな…私も頑張るけど、穂波には先生がついてるし。」
「なんなら綾芽も来る…?」
「せっかくだけど、私は行かない!2人の邪魔はしたくないし♪」
邪魔って…
「穂波、勉強頑張れ!じゃ、また明日〜」
綾芽はそう言うと、笑顔で走り去った。