君に届け
「誰だ…?」
池澤はそう言いながら席を立ち、玄関に向かう。
池澤の家に来る人…
葛城先生は今日出張だし、違うよね…?
明日まで帰って来ないって言ってたから─
あたしも気になって、池澤の後について行く。
玄関の扉を開けると…
「……?」
女の子がいた。
その子は髪を2つにくくっていて、可愛らしい笑顔を浮かべている。
誰…?
「詩音…?」
しばらく硬直していた池澤が、女の子の名前らしきものを口にした。
「遊びに来たよ、パパ♪」
パパ…?
それって、池澤のことだったりする…?
冷静に見えるけど、もうあたしの頭はパニック状態。
池澤、子供いたの…?