君に届け
あり得ないんだけど…
「穂波…違う。詩音は俺の子供じゃない…」
池澤は必死に否定しながらこっちに近付いて来る。
「違うって言ったって…その子はパパって言ってるじゃん…」
あたしは後ずさりながら池澤に言う。
事実でしょ…?
詩音って女の子は、その場できょとんとしている。
「だから…これには話すと長〜い事情があってな─」
「ごめん、憲介!!……って何、この空気?」
もう訳わかんない…
また新たな登場人物が、そこに現れた。
今度は…女の人。
「よかった…姉貴、詩音を1人にすんなよ。おかげで俺、誤解されてんだよ…」
姉貴って…お姉さん?
「誤解…?あぁ、また言ったんだ。詩音、憲介はパパじゃないの。わかった?」
どういうこと…?