君に届け
先に葛城先生がドアを開けて教室に入った。
「幸村…」
手招きをされ、あたしも教室の中へ…
静まりかえる教室─
集まる視線─
「幸村の席は、廊下側の一番後ろな。はい、じゃあLHR始めます!」
葛城先生は、あたしの席を指差して、背中を軽く押す。
あたしはそのまま、言われた通りの席につく。
「まず…全員、高校合格おめでとう!」
誰も反応しない…
「うん…じゃあ、せっかくだからみんな1人ずつ自己紹介していこうか?」
「「えぇ〜…」」
これにはみんな反応。
嫌そうに顔を歪める。
「まず俺から…」
そう言って、葛城先生は黒板に名前を書き始めた。
「さっきも言ったけど…俺は葛城 真っていいます。担当科目は理科。みんな、1年間よろしくな!」
葛城先生の自己紹介に、まばらな拍手が答える。