君に届け
大丈夫
「だってさ、よく考えてみたらそっちの方がお互い楽になるんじゃない?」
「え…?」
半ば開き直りだけど…
学校が別になれば、バレることを考えずに済む。
確かに池澤が転勤して遠くに行けば、会う時間は今より少なくなる。
でも…
学校にバレて、無理矢理引き裂かれるよりはマシだと思う。
あたしは、そんなことを池澤に告げた。
「なるほど…」
返事をしたのは、池澤ではなく志帆さんだった。
「私はそこまで考えつかなかった…真もだけど。穂波ちゃん、凄い!!」
志帆さんはそう言って、あたしに笑いかける。
池澤は俯いたまま…
「憲介…アンタの彼女はいい子だね。感激だよ!」
感激される程かな…?
「で、アンタは?穂波ちゃんの意見聞いて、どう思うの?」
俯く池澤の肩を叩き、志帆さんは尋ねる。
「…穂波がそれでいいなら、俺もいい。」