君に届け



「池澤…?」



口ではいいと言ってるけど、心なしか本心ではないように感じる─



「俺、外出てくる。姉貴、穂波よろしくな…」



「ちょっ…憲介!?」



志帆さんがそう言ったのと同時に、扉が閉まった。



「全く何考えてんの…ごめんね、穂波ちゃん─」



「いえ…」



やっぱり池澤は、さっきのあたしの言葉が気に入らなかったのかな…?



離れてもいいなんて言ったから、怒ってるのかも…



「憲介、人に対してあんまり素直にならないの…本当の気持ちなんて、滅多に言わないし。」



「志帆さん…?」



「憲介はいつもそうなの。全然変わらない…」







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