君に届け



志帆さんは、そう言って目を細めた。



「…でもね、穂波ちゃんになら任せられる。憲介の所に…行ってあげて?」



「はい!」



あたしは返事をして、扉の方へ走って行く。



勢いよく扉を開け、あたしは外に出た。



「……穂波?」



階段の所に座っていた池澤は、あたしの顔を見て目を丸くする。



「池澤…ごめんね。」



「…なんで謝る?」



咄嗟に出た言葉は、謝罪の言葉だった。



「だって…!」



「謝るのは…俺の方だ。」






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