君に届け
「いや…どうだろ?人事に関しては俺もわかんないからさ。」
「そっか…」
「あ、でもな。」
下を向くあたしに、葛城先生は思い出したようにこう言った。
「常勤講師って言っても、長い間同じ学校にいる人も中にはいるんだ。きっと…イケもそんなすぐには変わらないはずだ。」
「先生…」
「お前らさ、早く仲直りしろよ…」
葛城先生は、小さな声であたしに言った。
「お前らがぎこちないとさ…俺も正直困る。イケもずっと落ち込んでるし─」
池澤が…?
「あっ、そうだ!幸村、試しにやってみて欲しいことがあるんだけど…」
そう言って、葛城先生はあたしに耳打ちをした。
「えっ…こんなので?」
「お前、多分やったことないだろ?効き目は抜群だと思うけどなぁ〜」
確かにやったことない…
でも、これでぎこちない関係を修復出来るなら─
「わかりました。今日やってみますね。」
あたしは、葛城先生が提案したことをやることに決めた。
早足で池澤の家に向かう。