君に届け
「全く…憲介の奴、今度会ったら怒鳴らないと。」
そんな…
まだ仕事が残ってるみたいだし、仕方ないよ。
「じゃあ…穂波ちゃんにお願いしてもいい?」
「はい。」
「詩音!!」
志帆さんは、あたしに笑顔を見せると、詩音ちゃんを呼んだ。
「なぁに?ママ。あ、お姉ちゃんだぁ!」
少し離れた所にいた詩音ちゃんは、志帆さんの呼び声に反応して走って来た。
あたしを見るなり、嬉しそうに笑う。
「いい、詩音。お姉ちゃんに迷惑かけちゃダメよ?」
「うん!わかった。」
素直な子…
羨ましいなぁ…
「穂波ちゃん、憲介によろしくね。」
聞くと、志帆さんは仕事があるらしい。
今日は実家には誰もいなくて、預ける先はここしかなかったらしい…
「詩音ちゃんのことは任せて下さい。お仕事、頑張って下さいね!」
志帆さんを見送り、詩音ちゃんを部屋の中へ入れる。