君に届け
「あっ、憲介だぁ〜♪」
素早く反応したのは詩音ちゃんで、走って玄関へと向かう。
あたしも歩いてその後を追った。
「詩音…もう来てたのか?」
「うん、お姉ちゃんと一緒に遊んでたの。」
玄関に着いたあたしは、早速池澤と目が合った。
沈黙…
「どうしたの?」
ぎこちない空気の中、口を開いたのは詩音ちゃん。
あたしと池澤を交互に見ては、心配そうな顔をする。
「ねぇ…憲介も一緒に遊ぼうよ。こっち!」
「ちょっ…詩音?」
詩音ちゃんなりの気遣いなのか、池澤の手を引っ張って部屋の中へ。
「今度は詩音が敵役。」
そう言いながら、笑顔で怪物の人形を取った。
詩音ちゃん…
「お姉ちゃんもおいで。今度はヒーロー役していいよ♪」
「…うん。」
詩音ちゃんのおかげで、少し救われた─
だけどまだ…
解決はしていない。