君に届け
生きて…
「先生…?」
憲介は?と聞きそうになり、口を紡ぐ。
「幸村…お前も一緒に、…病院行くぞ。」
明らかに慌てた様子の葛城先生は、帰り支度をしろと言った。
「先生…どうなってるの?」
綾芽が問う。
でも、葛城先生はわからないと一言だけ呟いた。
「状況説明は後でする。お前らも、出来るだけ静かに待機しておいてくれ…」
みんなにそう告げると、葛城先生は教室から出ていった。
帰り支度を終えたあたしも、後に続く。
「穂波…」
「綾芽、行ってくるね。」
綾芽とみんなの視線を受けながら、あたしは教室を出た。