君に届け

生きて…




「先生…?」



憲介は?と聞きそうになり、口を紡ぐ。



「幸村…お前も一緒に、…病院行くぞ。」



明らかに慌てた様子の葛城先生は、帰り支度をしろと言った。



「先生…どうなってるの?」



綾芽が問う。
でも、葛城先生はわからないと一言だけ呟いた。



「状況説明は後でする。お前らも、出来るだけ静かに待機しておいてくれ…」



みんなにそう告げると、葛城先生は教室から出ていった。



帰り支度を終えたあたしも、後に続く。



「穂波…」



「綾芽、行ってくるね。」



綾芽とみんなの視線を受けながら、あたしは教室を出た。






< 260 / 282 >

この作品をシェア

pagetop