君に届け
葛城先生の車に乗り、病院を目指す。
「お前…取り乱したりしないんだな─」
「驚いてはいるけど…あたしが取り乱したって、どうこうなる問題じゃない。」
本当に自分の落ち着きようにはびっくりする。
憲介が…
大変な目に遭ったのに─
「こっちに入ってる情報と言えば、イケは…大型トラックに跳ねられたそうだ。」
「…容態は?」
そう聞いた時、信号で止まった車が再び動き出す。
「わからない。」
葛城先生はそう答えた後、唇を噛み締めた。
「先生…」
「…ごめん。俺が何をしても、どうにかなる訳じゃないのにな。幸村…お前が一番辛いのに─」
あたしは、その言葉に返事を返すことが出来なかった。