君に届け
「本当か?」
「あぁ…でも、」
安堵するのは早い。
涼哉さんは続けた。
「憲兄ぃが遭ったのは、普通の事故じゃない…運び込まれた時の状態から─」
「状態から…何だよ?」
葛城先生にそう聞かれても、涼哉さんは首を振るばかりだった。
「至急ICUに運んで。」
そんな時、中から声がして人が出て来た。
それに続き、他の人に押されて出て来たベット。
「イケ…」
葛城先生の言葉で、ベットの上にいる人が誰かわかった。
憲介だ─
「池澤 憲介さんの…ご家族の方ですか?」
先に出て来た人が、あたしたちを見て言った。
「私の方から、説明があります。」
その人は、あたしたちを見回して口を開いた。
「池澤さんの容態は、大変危険な状態です。」