君に届け



慣れた口調でそう言うと、その人は続けた。



「一命はとりとめましたが、運び込まれた時の状況からして、何らかの後遺症が残る可能性があります。」



後遺症…?



「脳に障害が残るとか、記憶喪失、他には身体の麻痺なども考えられます。」



淡々と告げられたことは、「はいそうですか。」と受け入れられるものとは明らかに異なる。



何でそんなこと言うの…



「これはあくまで可能性の話です。…ですが、そうなる覚悟もしておいて下さい。失礼します─」



言い終わると、その人はお辞儀をして去っていった。



もう…嫌だ。



誰か…助けて。





< 265 / 282 >

この作品をシェア

pagetop