君に届け



今のあたしに出来ることは、信じて待つだけ。



憲介は…
きっと大丈夫。



またいつもの笑顔で、あたしの名前を呼んでくれる日が必ずやって来る。



きっとそうだよ…



「志帆さん…」



落胆する志帆さんを、必死に励ます。



「大丈夫ですよ。憲介は…ここにちゃんと生きてるんだから─」



精一杯の笑顔を向けると、志帆さんも力はないけど笑ってくれた。



「穂波ちゃんは強いね。」



「うぅん。あたしはただ…信じてるだけです。」



ガラス越しに見える憲介の姿に向かって言った。



「待ってるから…」



ずっと。



「憲介、早く起きなさいよね。でないと、私が穂波ちゃんに新しい彼氏、紹介しちゃうんだから…」



志帆さんも、ガラス越しに憲介に向かって言った。



今はこうしていないと、心が壊れてしまう─



待つだけってさ、
結構疲れるんだよ。



ねぇ…憲介。
あたしはここにいるから。



待ってるから…
早く起きて─






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