君に届け
そう聞くと、愛奈は久しぶりに見る笑顔を俺に向けた。
「それはどうかな…私が決めることじゃないし。」
「え…?」
「池澤くんの気持ち次第だよ。ねぇ…どう思う?」
戻りたい
戻りたくない
この2択だ、と愛奈は言った。
「私は導き役。判断は池澤くん自身がするの…」
「俺が決める─」
「そう。あなたの人生だもん…でも、もう答えは出てるはずだけど。」
愛奈は立ち上がると、大きく息を吐いた。
そうだ…
愛奈の言う通り。
俺の答えは…
とっくに決まってる。
「戻りたい。俺はまだ…死ぬ訳にはいかない。」
「だよね─だって、池澤くんには大切な人たちがたくさんいるもん…」
「愛奈…」
「私は戻れない。だからこそ、池澤くんには生きていて欲しい。まだここに来るのは早いよ!」
だな…