君に届け



志帆さんとICUの前に座っていたあの時。



「穂波ちゃん…?」



何だか突然気分が悪くなってきて、志帆さんに寄りかかった。



「大丈夫?」



「気分悪い…」



「熱でもあるの?」



志帆さんの白い手が、あたしの額に伸ばされる。



「…熱はないわね。気分悪いだけ?」



「はい…」



風邪でも引いたかな…?



志帆さんに付き添われてトイレに行く時、あたしはそう思っていた─



「まさか…」



トイレに着いてすぐ、志帆さんは呟いた。



「あのバカっ…」



「志帆さん?」



あたしは、志帆さんが何のことを言ってるのか見当がつかなかった。



どうしたのかな?






< 274 / 282 >

この作品をシェア

pagetop