君に届け



後ろのドアから出ようとしていたあたしを呼び止めたのは…



前のドアから顔を覗かせる池澤だった。



「あっ…」



「幸村、これから時間ある?ちょっと話あんだけど…」



話?



「別にいいけど…」



あたしが言うと、池澤は笑顔を見せた。



「じゃあ行こうぜ!」



「どこに?」



「中庭。」



池澤はそう言い残し、先に行ってしまった─



あたしも慌てて後を追う。






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