君に届け
廊下を通り、下駄箱で靴を履き替える。
外に出て、目指す先はさっきの中庭。
相変わらず人がいない…
「幸村!」
手招きしながらあたしを呼ぶ池澤。
小走りで駆け寄ったあたしに、隣に座るように促した。
「大丈夫だった?」
「いきなり何?」
口を開いた池澤から出た言葉は予想外のものだった。
大丈夫…?
「真先輩に…責められたりしなかった?」
「いや…どうして?」
あたしが聞くと、池澤は俯いてしまった。
「先輩は…危険。」
???
危険って…?
「気を付けろ…」
池澤は低く、弱々しい声でそう言った。