君に届け



だったってことは、過去形だよね…?



「大学のサークル…」



「サークル?」



「あぁ。俺と真先輩と…愛奈とその友達。メンバーはその4人だった…」



愛奈…
その名前がひっかかる。



「俺と真先輩は、愛奈に恋した…昔話だけどな。」



20歳の時だから3年前だな…と付け加えた。



「最初は同じ相手を好きになってるって知らなくて…お互いの恋を応援し合ってたんだ。」



「で、どうなったの…?」



「結局、その恋は実ることはなかった。」



そうなんだ…



「じゃあ、アンタも葛城先生もフラれたってこと?」



「いや…愛奈は、不慮の事故で死んだよ…」



池澤は悲しそうな瞳であたしを見ながら言った。



「お前…ちょっとだけ、愛奈に似てる…」



え?






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