君に届け
4.誤解
それから数日後─
学校も普通授業が始まるようになり、本格的な高校生活が始まっていた。
あたしは綾芽と更に仲良くなり、いつも2人で行動している。
葛城先生に動きはなく、あたしを狙ってるような感じではない。
それでも池澤は、毎日1回は必ずあたしに話しかけてきていた。
そんなある日のこと─
「穂波?」
「なに、綾芽?」
今は休み時間。
次の授業は池澤の数学だった。
「池澤先生さ、穂波と仲良さそうだけど…なんかあるの?」
綾芽は、毎日池澤に話しかけられるあたしを不審に思ったのだろう。
「やだなぁ…何もないよ。入学式の時さ、サボってたあたしを怒ったのがあいつなだけ。」
あたしは、少し綾芽に嘘をついてしまった。