君に届け



入学式なんて、出る気力すら起きない…



人のいない中庭には、桜の木があった。



満開に咲いた、見頃の桜だった…



時々風が吹き抜けて、桜の木が揺れて、花びらが舞い散る。



綺麗…



あたしは、その桜の木に歩み寄った。



木の幹にもたれ掛かり、鞄を開けて携帯を取り出す。



入学式が終わるまでここにいようと決意して…



「君、こんなトコで何やってんの?」







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