君に届け
確か、数学のワークの基本問題だっけ…?
「綾芽。」
「ん?」
「宿題どこだっけ?」
「あ!やってないし…でも、確かここだったよ。」
綾芽はあたしのワークを捲ってページを指定した。
「ありがと。」
綾芽にお礼を言ってから、あたしは問題にとりかかる。
指名されなければいいんだけど…
「挨拶はなしで、ちょっと早いけど授業始めます。まず宿題の答え合わせな!ワークの6ページ開いて。」
間に合わない…
「じゃあ、前に出て解いてもらおっかな?5番のa問題1を…」
池澤は辺りを見回し、誰を当てるか考えているようだ。
「よし。今日は女子から行こっか♪矢野、前出て解いて!」
綾芽が当たった…