君に届け
池澤は葛城先生の言葉を聞いて、崩れるように座り込んだ。
「愛奈…」
「ごめんな、ずっと黙ってて…」
涙を流すまいと唇を噛みしめる池澤の肩に、そっと触れる葛城先生。
仲直り…出来そう。
誤解も解けて、2人の関係も上手くいくと思う。
よかった…
あたしは、ほっと胸を撫で降ろす。
「幸村…」
「はい?」
「怖い思いさせたな…悪かった。」
「いえ…そんな…」
謝る葛城先生に、あたしは必死で否定する。
確かにちょっと怖かったけど…
「あ…俺、会議出ないと。幸村、後頼める?」
「はい…」
後って、池澤のことだろうな…
そう思い、あたしは頷いた。
「じゃ頼むな。また明日、教室で!」
葛城先生はあたしの頭を軽く叩き、笑顔で多目的室を出ていった。
さて…と。