君に届け
悪いのは、池澤じゃなくて愛奈さんの彼氏でしょ…
暴力奮って愛奈さんを苦しめてた訳だし…
「いや…俺がいなきゃ、告白なんてしなきゃ、愛奈は彼氏と上手くいってたかも知れない…苦しい思い、しなくて済んだんだ…」
「後悔したって遅いじゃん。愛奈さんはもういないんだし…」
下手に慰めるよりも、直球で言ってやった方がいいと思い、そう言った。
「アンタの力不足でしょ?愛奈さんを守れなかったのは…」
「幸村…」
傷付けるかも知れない。
でも、これくらい言った方がいいんだ…
それが池澤のため。
「だとあたしは思うよ。愛奈さんだって、今更アンタに後悔してもらったって迷惑だよ。」
あたしは言い終わると、静かに立ち上がった。
「もう一度よく考えたら?愛奈さんがどんな思いでアンタを想ってたか…じゃね。」
最後にそう言って、あたしは池澤を残し、多目的室を後にした。