君に届け
幸村の言う通り、俺の力不足だった。
俺が…
俺が悪いんだ…
愛奈、ごめんな…
静かな多目的室。
部屋に入ってくる人はおろか、廊下を通る人もいない。
そんな静まりかえった空気の中、俺は1人、愛奈を想う。
届くはずがない。
そんなこと、わかりきっているのに…
忘れたはずなのに…
なんで涙が出る?
こんな俺を見たら、愛奈は笑うか…?
『この泣き虫憲介!』って怒鳴るか…?
思い出す。
愛奈の笑顔を。
俺と愛奈と先輩…
みんなで過ごした、楽しかった思い出を─
「愛奈…」
会いたいよ…
一度でいいから─
愛奈…