君に届け
★葛城先生side★
今、言うべきだったのか…
イケに真実を伝えた俺は、悩んでいた。
真実を伝えることで、また前みたいにイケと仲良く出来る。
あいつの誤解を解いて、すっきりするはずだったのに…
俺の中には、それとは真逆のモヤモヤした気持ちが残っていた。
愛奈の気持ちを俺が代弁することで、イケを傷付けることになったかも知れない。
呆然としていたイケの姿がまだ目に焼き付いて離れない。
幸村に任せてきてしまったが、大丈夫だろうか…?
会議だって嘘を付いて出て来たのはいいが、不安で仕方ない。
愛奈が死んで3年─
もしかしたら、イケは前に進んでたかも…
俺が過去を呼び戻したせいで、悩ませているかも…
「あぁ…」
俺は頭を抱え、その場に座り込んだ。
「葛城先生…?」