君に届け



『あと…さ、』



「ん?」



池澤は、何かを言いかけて口ごもる。



『お前に…』



あたしに?



『いや…やっぱいいや。』



池澤は一番肝心の内容をはぐらかした。



「なに?言いたいことあるなら言ってよ。気になるじゃん…」



『…』



「池澤…?」



黙ったままの池澤に、あたしは問いかける。



言いかけてやめるのはいけないでしょ…



『…さんきゅ。』



え…?







< 73 / 282 >

この作品をシェア

pagetop