君に届け
さっきの言葉で機嫌をよくしたのか、笑顔であたしにプリントを渡す池澤。
「……?」
「まずはお前の実力を見るから、教科書や俺に頼らずに自分で問題やってみて。」
見ると、プリントには今日までの授業内容でやった辺りの問題がいっぱい…
なんだか目眩が起きそうだけど、頑張って問題を解いていく。
そんなあたしの姿を、池澤は手前でずっと見てた。
たまに視線が気になって顔をあげると、池澤が笑顔で見せる。
「…はぁ。」
そんなことを繰り返しながらも、やっと全部の問題を解いた。
「ご苦労様。ちょっと休憩するか…待ってろ。」
池澤はそう言って、理科準備室から出て行った。
「お待たせ!」
しばらくして帰って来た池澤の手には、ジュースが握られていた。
「これは俺の奢り。どっちがいい?」
コーヒーとアップルジュース…
あたしはアップルジュースを指差した。