君に届け



そして、あたしの心ない言葉で、また池澤を傷付けてしまった…



酷い奴だよね、あたし…



「あたし、頑張る…」



「幸村…?」



「頑張るから…数学教えて?いつか、数学好きって言えるように頑張るから…」



逃げてるだけじゃ、何も始まらない。



だからあたしは、この補習に来る決意をしたんだ。



だったら、嫌いだって言う前に努力しなきゃ…



何もしないで数学が出来るようになれる訳がない。



「幸村…

わかった。俺、昨日言ったよな?お前に数学好きって言わせるって…

その約束、果たしてみせる。俺、頼りないし、まだ教師にもなれてない未熟な奴だけど…

お前の力になれるなら…
俺も一緒に頑張るよ。」



「池澤…」



あたしの頭を撫でながら、池澤は笑顔でそう言ってくれた。



嬉しかった。
こんなあたしの為に、池澤は一生懸命になってくれている…



「…ありがと。」






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