君に届け



「だから…帰りたくない。」



今のあたしを支えているのは、たまにかかってくるお父さんからの電話。



それだけ…



「今日もお母さんは仕事なのか…?」



「多分…ね。」



聞いてないから…
わかんないよ。



「そっか…」



池澤はしばらく考えるように天井を見上げた。



「帰りたくないって言ってる奴を無理矢理は…」



独り言を呟きながら眉間にしわを作る。



「…よし。」



考えがまとまったのか、池澤はまたあたしに視線を戻した。



「そんなに嫌って言うなら…

俺ん家来る?」






< 90 / 282 >

この作品をシェア

pagetop