君に届け
「だから…帰りたくない。」
今のあたしを支えているのは、たまにかかってくるお父さんからの電話。
それだけ…
「今日もお母さんは仕事なのか…?」
「多分…ね。」
聞いてないから…
わかんないよ。
「そっか…」
池澤はしばらく考えるように天井を見上げた。
「帰りたくないって言ってる奴を無理矢理は…」
独り言を呟きながら眉間にしわを作る。
「…よし。」
考えがまとまったのか、池澤はまたあたしに視線を戻した。
「そんなに嫌って言うなら…
俺ん家来る?」