君に届け



意味深な言葉を残し、池澤は車を止めた。



「ここ…?」



窓から見えるマンションを指差し、あたしは聞いた。



「うん。俺ん家、ここの7階だから。」



そう言って車から降りた池澤に習い、あたしも車から降りる。



ここって…
あたしの家のだいぶ近くにあるマンションだよ…



もう少し進んだ辺りにあたしの家がある。



池澤が意外と近くに住んでたことに驚く。



「ねぇ…」



「ん?」



「さっきの後悔って…」



エレベーターを待っている時、あたしは池澤に聞く。



「…言葉通りの意味。後悔だけはするなよって、俺からの忠告だ。」



池澤が言い終わったところでエレベーターが来た。



エレベーターに乗り、池澤は7階のボタンを押す。



後から乗り込んだあたしは、池澤の背中を見ながら思う。



後悔だけはするな…






< 96 / 282 >

この作品をシェア

pagetop