ハイスクールラブ
思わずくみこを見る。くみこも眉を寄せていた。すぐに携帯を取り出していた。
紘季にメールでも送るつもりなのだと真奈美は思った。

こういうとき連絡手段があるのと無いのとでは大きな差があると真奈美は悔しがった。
しかし、それを悔やんでも何も始まらない。心配なのは真奈美も同じである。
自分は一度家に行っている。
クラブから紘季の家まではタクシーで移動したが、なんとか思い出して行ってみようと
決めた。




学校が終わり、すぐに紘季の家に向かった。

「確か・・・ここらへんだったような・・・」

真奈美は記憶を頼りに探したが、似たような路地ばかりで、ただうろつくだけだった。

「わかんねー・・・。帰りどうやって帰ったんだっけー。」

真奈美はとりあえずもう一度大通りに出ることにした。
紘季の容態も心配だったが、お見舞いという大義名分で会いにいけるという気持ちもあった。

もう暗くなりかけている。紘季の家を見つけられず帰るのは嫌だった。
その時だった。

「あ」

前から歩いてくる男性が真奈美を見て指差した。
真奈美は少し訝しんで、すぐに思い出した。

「あ・・・」

クラブで紘季と一緒にいたドレッドの男性だった。

「えーと、えーと、ちょっと待って・・・・真奈美ちゃん、だっけ!?」

ドレッドの男性がにやにやと嬉しそうに言った。

「はい。あの、藤く・・・藤代先生のお友達ですよね!?」

真奈美は心の中でラッキー!と叫んだ。この人なら紘季の家を知っているはずだ。

「あ、はい。僕、藤代先生のお友達の重田です。・・・こんなとこで何してんの?
もしかして・・・紘季をストーキング?」

真奈美は違いますと言おうと思ったが、紘季の家を探している行為がストーカーと思われても仕方ないと思った。

「そうですね、ストーキングです。ハイ。」

重田はハハハ!と笑った。
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