ハイスクールラブ
「藤くん、大丈夫?薬飲んだほうがいいんじゃない?」

真奈美は心配して尋ねる。
紘季は再び咳き込み、何も返事しなかった。

真奈美は薬の箱の裏に書いてある『用法・用量』の部分を読んだ。

(食後・・・何か食べないとだ)

真奈美はキッチンに向かい、重田がくれた鍋焼きうどんをコンロに乗せた。
卵でもないかと冷蔵庫を見たが、ほとんど酒ばかりで何もなかった。
洗面器に氷と水を入れ、干してあったタオルをたたんで浸した。

「藤くん、薬飲む前に食べないと。起きれる?」

真奈美はうどんをテーブルに運んで言った。

「いらねー。薬だけでいい・・・。」
「だめだよ。少しでいいから食べて。」

小皿に少し取り、ベッドに近づいた。
紘季が布団から顔を出す。

「本当に・・・いらない・・・」

真奈美は紘季の体の下に手を入れて無理やり起した。
無理やりうどんを口の中に入れる。
紘季は少し食べて、嫌そうな顔をした。

「薬」
「だめだよ、もう少し・・・」
「いーから」

紘季がイラついた口調で睨んで言うが、熱で目が潤んで、迫力がない。

(可愛い・・・)

真奈美は仕方なく薬と水を渡した。
紘季はそれをぐいっと飲むと、再びベッドに横たわった。
真奈美は氷水に浸していたタオルを絞り、紘季の額の上に乗せた。

「きもちー・・・」

紘季はため息をついて呟いた。

「熱、計った?」

紘季が薄目を開けるがすぐ閉じた。眠たいのだろう。
真奈美はテーブルの上の体温計を手に取り、勝手に紘季の脇に体温計を挟んだ。

「39.1・・・。」

真奈美はこれ以上高くなるようだったら、病院に連れて行こうと思った。
定期的にタオルを交換する。次に起きたら着替えさせよう。
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