ハイスクールラブ
真奈美は不謹慎とは思いながらも、紘季の看病ができるのが嬉しくて仕方なかった。
紘季の寝顔を見つめる。
時々、眉を寄せて苦しそうな表情をする。
真奈美は手の平を紘季の額にあてて、大丈夫、大丈夫・・・と囁いた。
すると突然紘季がビクッと体を震わせ叫んだ。
「ハル!!」
真奈美の腕を強く掴み、起き上がった。
真奈美はびっくりして紘季を見つめた。
紘季も、夢と現の狭間にいるかのような、混乱したような表情で真奈美を見つめた。
「藤くん・・・」
真奈美の声にハッとし、手を離す。
「・・・まだ、いたのか。ありがとう。もう帰りなさい。」
途端に教師の口調になり、真奈美は突き放された気がした。
「嫌。帰らない。藤くんの熱が下がるまでここにいる。」
真奈美は何と言われても帰るつもりは無かった。
紘季は何か言おうとしたが、ポカリを飲んで再び寝ようとした。
真奈美が着替えた方がいいと言ったが無視された。
「いてもいいでしょ?心配だもん。」
「・・・好きにしたら。」
そう言って眠ってしまった。
真奈美は喜んだ。面倒なだけだったのだろうが、紘季が真奈美を多量なりとも受け入れてくれたのは、あれ以来始めてだったからだ。
再び、紘季の寝顔を見つめる。
(さっきの・・・『ハル』って・・・何だろ。元カノの名前とかかな、やっぱ・・・。)
真奈美は紘季には忘れられない恋人でもいるのかもしれないと思った。
きっと自分を拒絶するのは、教師と生徒という関係だけが原因ではないのだ。