ハイスクールラブ
(こんな時間に誰だろ・・・)

真奈美が出ようとすると、紘季があわてて真奈美の手を掴んだ。

「馬鹿、お前が行ってどうする。」

紘季はズボンを履き玄関に行こうとしたが、尋ね人は鍵を使って入ってきた。

「くみこ・・・」

くみこが真奈美の姿を見て驚いている。

「・・・なんであなたがここにいるの」

紘季がくみこの前に立つ。

「しげが勝手に連れてきたんだ。もう帰るとこだから。」

くみこは紘季を無視して真奈美の前に立った。

「あなた、自分が特別な気になってるのかも知れないけど、そう思ってるのはあなただけよ。紘季にとって特別なのは私だけ。紘季は私と離れられないの。わかった?あなた、頭が悪いみたいだから、わかるまで何度でも言ってあげるわ。」

くみこは相当怒っているらしかった。

「やめろ」

紘季が止めに入る。
真奈美は怯まなかった。

「何言われたって藤くんを好きなのをやめるつもりない。今の私にとって、藤くんは全てだから。」

真奈美は本気で言ったが、それを聞いてくみこが笑った。

「全て!?全てですって!笑っちゃう!そう、それなら私にとっても紘季は全てだわ。でもあなたとはレベルが違う。桁が違うんじゃなくて、次元が違うのよ。」

そう言って真奈美の鞄を掴んで、紘季が止める間もなく窓から外へ投げた。
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