ハイスクールラブ
真奈美の家に着いて、いたのは姉の美由紀だけだった。
「あれ!?あんたどうしたの!?」
「学校で・・・転んだ」
「はあ?馬っ鹿じゃないの」
美由紀はいつものように真奈美を馬鹿にしていたが、後ろにいた紘季に気がつくとハッと表情を変えた。
「どうも。広瀬さんの学校の教師をしてます。藤代です」
「どうも・・・」
「この度は、学校で広瀬さんがお怪我をされて病院に同行させていただきました」
紘季は医者から受けた説明を丁寧に美由紀に話し、自分も学校にいながら怪我をさせてしまって申し訳なかったと紘季が言うと、表情と声色をよそ行きのものに変えて言った。
「いいえー。本当に、この子ってそそっかしくて。すみません、ご迷惑をおかけして。あ、どうぞ先生、上がっていってください」
魂胆が見え見えのその様子を真奈美はうんざりしながら眺めたいた。
「いえ、学校に戻って報告しますので帰ります。広瀬、何かあったらまたすぐ連絡しなさい」
真奈美はありがとうございましたと答えて頭を下げた。
美由紀がひとしきり挨拶をして紘季が去るのを見届けると、真奈美に向かっていくぶん興奮した様子で言った。
「何あれ!超イケメンじゃん!!先生??ちょっとーあらかじめ言っておいてよー。化粧もまともにしてないじゃんか」
(知るか・・・)
真奈美は美由紀の質問攻めから逃れるために早々に部屋に入った。
先ほどの紘季の腕に包まれた感触を思い出す。
(・・・まだまだ、これからよ!)
真奈美は気を引き締めて、携帯を取り出した。