ハイスクールラブ
第四章 Love is real
「でっけー・・・」

真奈美は炎天下の中、辻村家を見上げて呟いた。
高級住宅がずらりと並び、どこも大きなガレージや庭があった。

真奈美は辻村家の様子をそっと探る。大きな黒い門をくぐるとこじんまりとした庭があり、その先に二階建ての綺麗な白い家が立っている。

昨日、重田から辻村家の場所を聞き出し、家族に内緒で家を出てきた。
怪我をしたばかりで、さすがの両親も家にいるようにきつく真奈美に言い聞かせていたが、真奈美は家でじっとしている気になれなかった。
思い立ったらすぐに行動しないと気が済まない。

激しい蝉の声が頭に響く。
目立つので包帯もはずした。汗が傷にしみる。

真奈美は意を決して辻村家のインターフォンを鳴らした。
真奈美を殴った時のくみこの表情を思い出して顔が強張る。

「はい」

中年の女性の声で応答があった。おそらくくみこの母親であろう。

「あの、私、くみこさんの同級生の広瀬といいます。くみこさんはいますか」

真奈美は緊張して声が上ずった。

「・・・はい、少々お待ちください」

真奈美は手をぎゅっと握って気を引き締めた。昨日の今日である。本当に殺されるかもしれない。

ガチャン!と大きな音を立てて玄関の扉が開かれ、くみこと男性が出てきた。
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