キズ
プロローグ
塩見裕子。
中3の夏休み明けの学校。

周りの友達は高校受験の勉強を必死でやっている。
私にはなんであんなに必死なのか分からない。必死でやるなら頭の良い高校目指せば良いのに5教科250点満点中100点なくても行ける高校を目指して必死なのだからバカらしい。
そんな私の冷めた感情が周りにカン付かれたのか男子に影で悪口を言われるようになった。
私と出席番号が近く少し仲の良い川田さんもその男子と私の話をしていた。聞こえるから分かった。
その時、ふと川田さんと目が合った。そのまま川田さんはこっちに来て
「今むこうで男子と塩見さんの悪口言ってるけど悪気ないから。」っとニコっと一言。ハァ?悪気ない?悪口に悪気ないわけないだろと思いながらも突然で唖然としてしまった。
早く高校生になりたい。こんな学校嫌。
そして私はこの中学から受ける子が少ない高校を選んだ。私を含めて2人だけ。250点満点中70点もあれば受かる高校。
私は担任にその高校でさえ落ちるかもしれないと言われた。でもこの中学はマジメだから担任が「落ちるぞ」と勉強させる意味で嘘をついているのではないかと根拠のない思い込みをした。
そんな事を考えながらパソコンで遊んでいるときに「k高校受ける人~」と言う掲示板を見つけた。それは私の受けるつもりの高校の名前だった。私はそこで知り合った直樹とメールのやり取りをはじめた。
成績の話や直樹の中学じゃk高校は何点位あれば受かると言われているかなど。たまに恋愛のくだらない話もしたりした。
私は悪口を言われたりしたせいで男子が苦手になっていた。でも直樹とメールをしていると初めて男友達ができたみたいで嬉しかった。早く高校生になりたくてなりたくて仕方なかった。
そして受験も終わり合格発表の日。私は母と一緒に合格発表を見に言った。
“197”私の受験番号。
「あ…あった!お母さん!あったよ!」
私は合格の嬉しさあまりに号泣をしてしまった。
これで中学時代が過去になる。もう嫌な事なくなる。4月から始まる高校生活が楽しみで仕方なかった。
私は涙を拭き合格者のみに配布される封筒を貰いに行った。
この瞬間から私の高校生活が始まった。
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