僕の中の十字架
なんで優しく出来ないんだろう。
こんな言葉を言うために手を握ってるわけじゃ
――――………手握っ…………両手握っ…………てる。
う、うわぁぁぁぁぁ!!
気付かずにとっていた大胆行動に目を白黒させる北村さん。
相当な目付きの悪さで富士原さんを見る北村さん。―――彼の両手を引き千切ろうとしてるわけではありません、ただ様子を伺ってるだけです。
「―――っ」
ぬわ――――っ!
北村さん、心中大絶叫。あんた落ち着け。
「………フッ」
何故か勝ち誇ったように笑う富士原さん。
「なんですか手なんか握っちゃって〜」
「うう……」
生粋ドSの本性をさらけだして、ニヤニヤ笑いながら、
「………っ」
生娘みたいな反応でうつ向く北村さんに顔を近付けます。
多分、北村さん本当に生娘だろうね、もっと云えば処女だろうね。
富士原さんの心は傷だらけでした。でも笑いました。
この傷は、昔のモノなんだ。