僕の中の十字架

「ね、クロ」


「野田さんて、他殺らしいね」



あはは。
ははは。



「ぼくの両親もそうだと良いよね」



あはは。
ははは。



笑いながら、腹の底で急速に冷えるものがあった。


辛かった。
痛かった。
嫌だった。


一体何処で嵌って抜け出せないのだろう。
どうしてこんな事になったんだろう。



「クロ」


「ん?」


「親が死ぬって、どんな感じ?」




心が死んだ感じ。


ぼくは動けなくなった。
サエも動く気配がなかった。

考えてみたら、そうだ。

今のぼくは、死んでるのかも知れない。
あの時、涙と一緒に、心を流し出したのかも知れない。





―――――――――
――――――
―――


なんて残酷な質問!

私ったら!



なぁんて、サエが考える筈もなく。
しかし、こちらに背を向けてベッドの枠に寄りかかったままのクロエを見。


お、怒ってる?


もしくは、寝てる?


何故そんな考えになるのか、解らない貴方は大丈夫です。


というか、サエにはデリカット(訂正・“デリカシー”)が無いんだよコレが。
あと女の子らしくスカートはこう――。



「…………」



ゴメン、睨まないで。



両親が死んで二週間程経った今、何時ものように笑いません。

笑ってても笑えてません。

痛々しくて、見てるこっちにも伝染しそうなヌケガラパワーです。一体どんなパワーなんでしょうね。


サエはどうなんでしょう?





本当に笑えてるのでしょうか?










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