僕の中の十字架


日曜日。

今日は昼前に目が醒めた。

着替えて、階段を降りてリビングに行った。


今日はおじさんとおばさんは二人で出かけていて、夜中過ぎまで帰らないそうだ。


リビングのテーブルの上に、おにぎりをのせてラップをした皿が置いてある。


しかし、



「……………」



昨日、寝る前に見たときより数がごっそり減ってるのだが。



半分はサエのだが、半分はぼくのだ。

半分も残ってない。……っていうか二つしかない。


まあ、寝起きはあまり食欲が湧かないものだし、サエにしては遠慮したものだと思う。


全く何の気遣いも無かったら、全部食ってる。




ぼくは、おにぎりひとつ平らげて、二つ目を持って階段を上ってく。



「サエー?」



単に餌付けでもしようかなと。

このおにぎりでかいから、ひとつで十分だし。


二階の窓から見える、隣の家の壁が見える。ぼくは立ち止まった。


戻れないのは解ってる。
だから戻りたいと願う。


切望して
絶望して

また、切望する。

何故、無駄だと解ってるのに望み続けてしまうのかな。

現実を受け入れようとしないんだろう。


まだ子供だからか?
突然だったからか?



「…………」



違う。
父さんと母さんに、行き返って欲しいなんて望まない。


ぼくが望むのは、父さんが母さんを殺したんじゃないということ。


犯人が他に居ると考えたい。


一応、遺族だというのに、ぼくが父さんと母さんの死についてしった事は、大体がニュースで見た事だ。


何故教えてくれなかった。


まだ子供だからか?
突然だったからか?
混乱してると思ったのか?

ショックで耐えられないとでも?


子供だからって、何も知る権利はないのか?


そんなの理不尽だ。







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