僕の中の十字架
「クロ?」
「あ、うん」
呼び声に気付いて部屋から出てきたサエが、ぼくの目の前で手をかざして注意をそらそうとしていた。
「“あ、うん”じゃなくて、おにぎり、もらったから」
「せめて“これ、やるよ”位は言いたかったな」
「いいじゃん」
「卑しいなぁ」
「失礼な」
言った後、でかい飯の固まりを一口で頬張り、もふもふと食べながら、
「クロさ、暇ならゲームしよ?」
「口の中全部食ってから言ってくれないか」
頬張りながらなので、言葉が聞き取り難かったため、修正を試みてみました。
「はいはい寂しいのね解った相手したる」
「別に寂しくない」
「あっそ」
「あれ? 戻るの?」
「寂しくないんだろ? ゲームなんて一人でも出来るじゃん」
「にゃー!!!」
いきなり猫の様な叫びを上げて、もしゃもしゃと頭をひっかき回すサエ。
なんか怖いよ。
「いいから一人にするな!」
「は?」
「一人に、するなぁぁぁ!」
「やっぱ寂しいんじゃん!」
「寂しくない! 寂しくない!」
ロンリーウルフな言葉を叫びながら、サエはぼくを引っ張って階段を
「あれ? ちょっと! 襟首は無しでお願い! 苦しい………! 苦しいよぉ………っ!!」
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