僕の中の十字架
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「此処が、宮崎クロエちゃんの家ですか」


「はい、親戚は根刮ぎで音信不通らしく、親の親友であるお隣の家に引き取られたらしいです」


「なんとまあ、憐れな」


「そうなんです……。………うっ…………うう………っ」


「何故あんたが泣く」



家の前でコントを繰り広げるこの二人、物凄く怪しいのですが。



一人は女性。
ポイントライトニングされた長い髪をアップにしてまとめ、更におだんごにしてます。

なんとなく日本人離れした顔立ちは、ドルチの描いたマグダラのマリアを思い起こさせます。

が、目元のあどけなさは無く、気が強そうです。



一人は男性。

黒いサラサラな髪は長め―――――というか長すぎて目が隠れとる。

体格も悲しくなる位に細いです。隣の女性と並んだら、同じ位細いです。

誰かに似てる気がしますが、きっと気のせいです。
すみません、本当は気付いたら似てしまってたのですすみません。


体つきの良い、バランスの取れた抜群なスタイルの女性と、ひょろりとした、食の細そうな男性の二人組。



「ってかあんた、そろそろ前髪切れ。目が無いみたいで怖いです」


「そうすか?」


「そうっすよ」


「いいじゃーん」


「肩組むな馴れ馴れしくするな前髪ブチ抜くぞ」


「前髪引っ張んないで……! ごめんなさいもうしません」


「―――ったく!」


「………狼籍者」


「誰のせいだと思ってんだこのHENTAI野郎が………!」


「前髪だけは、前髪だけはァァ……! ―――というか前髪長い人が皆変態とは限らないでしょう? 世界の前髪長い人に謝って下さい!」


「う………ごめんなさい……」


「よし、じゃあそろそろ離して下さい。痛い痛い痛いマジ痛い抜ける」


「…………」


「…………」




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